PJ: 鬼頭 秀彰
「製造業派遣の原則禁止」次期通常国会に法案提出へ。民主党、木を見て森を見ず。
2009年12月29日 08:29 JST
【PJニュース 2009年12月29日】厚生労働省の労働政策審議会は28日、製造業派遣の原則禁止を柱とする改正労働者派遣制度を長妻昭厚労相に答申した。同省は年明けの通常国会に労働者派遣法改正案を提出する方針だ。しかし、最新のマクロデータからはこの法案の合理性が見えてこない。
12月25日に公表された総務省「労働力調査」11月分速報では、11月の就業者数は6260万人と1年前に比べ131万人減少した。その中で製造業の従業者総数は1063万人と74万人減少。これに派遣社員は含まれていない。「サービス業」の中にある職業紹介・労働者派遣業総数をみると108万人と9万人の減少だ。すなわち、全産業131万人減のうち、製造業74万人、派遣業9万人の減少である。
「派遣切り」は確かにセンセーショナルな報道であったかもしれないが、製造業ではその8倍、実に74万人も、わずか1年の間に減少しているのだ。また総務省「事業所・企業統計調査報告」によれば、平成8年から18年の10年間で製造業の事業所数は77万から55万に減少した。従業者数も400万人減。このように製造業では、働く場所と人数が長期に渡ってもこれほど減少しているのだ。
この構造のままで、「より安定的な雇用形態で雇いなさい」と言うのがこの法案である。しかも、この1年に限って言えば、減少率は製造業7.0%と派遣全体8.7%と、もはや正社員が決して安定的な雇用であるなどと言える状態ではない。
さらに言えば、終身雇用制度も日本の伝統的企業文化などではない。その時の状況に適した雇用制度を合理的判断の下、多くの企業が選択していたに過ぎない。現状も企業は最適解を求め、派遣社員を活用しているのである。経済的合理的判断が至上とは言わないが、しかしこの状況のまま法案を通すとどうなるか。工場の海外移転の加速化が懸念されるのは当然である。【了】
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