SakuraFinancialNews

PJ: 石川 雅之

映画「はやぶさ」3題が等しく語りかけるもの
2012年02月09日 07:44 JST


文科省のサイトに掲載されている「はやぶさ」映画キャンペーンポスター画像 

【PJニュース 2012年2月9日】2010年6月13日の小惑星探査機「はやぶさ」の地球帰還から1年半、未曾有の大震災と原発事故ですっかりその興奮は色あせてしまったが、日本が世界に誇るべき一大宇宙事業をめぐる映画が相次いで公開される。すでに昨秋公開され、3月7日にはDVD発売される先行の1本を含めた劇場公開用の3作品は、それぞれ製作会社の持ち味を色濃く反映した仕上がりで異なり、興味深い。

先頭打者となった堤幸彦監督、竹内結子主演の『はやぶさ/HAYABUSA』(20世紀FOX配給)は広報担当職員の視点を通して子ども向けの解説絵本に仮託して進行する仕立てで、ハリウッド資本に相応しい万人向け、子ども連れに最適の作品だった。

それに対して今週末11日公開の『はやぶさ 遥かなる帰還』(渡辺謙主演、瀧本智行監督 東映配給)は硬質な人間ドラマの味わいで、おそらく事業の実際に最も近い形の一本である。先頃スイスで開催されたダボス会議で日本人として首相より注目される演説を行った渡辺謙が作品そのもののプロジェクトマネージャーを務めていることでも話題の同作品は、江口洋介、吉岡秀隆、石橋蓮司、藤竜也、山崎力、夏川結衣と役者揃えも重厚で、いかにも質実剛健な東映らしい本寸法の日本映画である。音楽に今をときめくピアニスト辻井伸行を起用しているあたりも心憎く、見応え感十分。エンディングのピアノソロは心に沁みる。

しんがりを担うこととなる3月10日公開予定の松竹配給『おかえり はやぶさ』(藤原竜也、杏主演、本木克英監督)は唯一の3D仕様。飛び出す画面にシンセサイザーで世界に名を馳せた冨田勲の音楽を重ねながら宇宙の壮大感をたっぷり前面に押し出しつつも、先行プロジェクトの失敗を背負い続ける元研究員(三浦友和)の内奥や職員の家族(前田旺志郎、森口瑤子、田中直樹)の臓器移植をめぐる顛末等をからめた松竹ならでは人間臭横溢の人情ドラマの装いとなっている。

言うまでもなく、3作品ともクライマックスは探査機「はやぶさ」の地球帰還シーン。7年にわたる事業の内実や成果、オーストラリアのウーメラへの落下等、すでに様々な形で人口に膾炙した「はやぶさ」プロジェクトではあるが、いずれの作品とも、カプセルが帰還するというそのこと自体が実に感動的な場面となっていて、映画そのものはフィクションであると了解しつつも「事実は小説より奇なり」という名高いイギリスの詩人の一節を想起し胸を震わされる。

事業を担った宇宙航空研究開発機構(JAXA)が等しく全面協力したこともあってなのだろう、文科省も映画を後押しするべく盛んに広報してポスターまで作成し、全国の教育機関に配布している。予算獲得のための政策色濃厚だが、この際、皮肉めいたことは言うまい。

1月23日に丸の内ピカデリー行われた『おかえり はやぶさ』の完成披露試写会の場で、事業の広報を担当したJAXA名誉教授的川泰宣博士は、3.11の大震災を経験したことで「はやぶさ」プロジェクトの意味合いが大きく変容したと語った。その言葉通り、とりわけ松竹作品が際立たせた若い力、信念をもって事業に取り組む姿勢こそが大きな困難の前では求められ待望される、というメッセージをそれぞれ切り口を別にしながら、しかし等しく強烈に発信する3作品の鑑賞は、混迷し、いまなお苛烈な現実に直面する日本人にとってのいかばかりかの気力、勇気に直結することは間違いない。

参考
『はやぶさ/HAYABUSA』公式サイト
http://movies.foxjapan.com/hayabusa/index.html
『はやぶさ 遥かなる帰還』公式サイト
http://www.hayabusa2012.jp/index.html
『おかえりはやぶさ』公式サイト
http://hayabusa3d.jp/index.html
文科省「はやぶさ」映画webサイト
http://www.mext.go.jp/hayabusa/

■関連情報
PJニュースは一般市民からパブリック・ジャーナリスト(PJ:市民記者)を募り、市民主体型のジャーナリズムを目指すパブリック・メディアです。身近な話題から政治論議までニュースやオピニオンを幅広く提供しています。

PJ募集中!みなさんもPJに登録して身の丈にあったニュースや多くの人に伝えたいオピニオンをパブリックに伝えてみませんか。


【PR】有名レストラン50%引き?クーポン情報をまとめて掲載!「グルーポンなう!」



関連記事:
タグ:
pagetop

PJ 記者